かつて角界では「大学で過ごす4年間は遠回り」とされる風潮すら存在した。10代半ばから部屋に入り、親方や先輩の胸を借りて身体を作り上げることこそが唯一の正攻法と信じられていたからだ。しかし、その常識は今や過去の遺物となりつつある。
大学のキャンパスで培われるのは、単なる筋肉の量だけではない。栄養学、運動生理学、そして相手の立ち合いや癖を詳細に分析する映像データの活用といった、近代的なアプローチだ。学生相撲で数多の修羅場をくぐり抜けてきた選手たちは、プロ入りした時点で完成度の高い技術と精神力を備えている。日本相撲協会が設ける幕下付出や三段目付出の制度もこの流れを加速させ、デビューから瞬く間に十両、幕内へと駆け上がるスピード出世が日常風景となった。