8階催事場のエレベーターの扉が開いた瞬間、香ばしいバターと焼きホタテの香りが鼻腔をくすぐる。東武の名物企画として全国的な知名度を誇る「大北海道展」の会場は、平日午前中から熱烈なファンで埋め尽くされていた。百貨店の催事離れが囁かれる昨今において、なぜこれほどの求心力を維持できるのか。
秘密は徹底した現場主義のバイヤー戦略にある。担当者が現地へ足繁く通い、現地でしか味わえない希少なクラフトチーズや限定スイーツ、朝獲れ海鮮を独自ルートで確保。単に商品を並べるだけでなく、実演販売のライブ感や生産者のストーリーを売り場全体で演出し、五感を刺激するエンターテインメントへと昇華させている。
ECで何でも手に入る時代だからこそ、ここでしか体験できない「偶然の美味しさとの出会い」に人々は列をなす。催事場はもはや単なる売り場ではなく、リアル店舗の存在意義を証明する熱源として機能している。