日本中を恐怖と興奮の渦に巻き込んだ。佐野史郎が演じた桂田冬彦という男のインパクトは、今なお色あせることがない。マザコン、エリート、そして木馬に乗る不気味な癖。それまでの日本のテレビドラマにおける「理想の結婚相手」という概念を、足元から崩壊させた伝説的キャラクターだ。
狂気は、静かに忍び寄る。賀来千香子演じるヒロイン・美和が直面した底なしの歪んだ愛は、単なるサスペンスを超え、当時の流行語大賞に「冬彦さん」が選ばれるほどの社会現象となった。視聴者は恐怖に慄きながらも、画面から目を離せなかったのである。