白戸家シリーズが立ち上げられた当時、クリエイティブディレクターの佐々木宏氏らが考案した設定は「家族の中に一人だけ犬がいるが、誰もそれを不自然に思っていない」という不条理劇でした。このシュールな世界観を支えたのが、北海道犬特有の凛々しい顔立ちと、北大路欣也氏の威厳ある低音ボイスです。
しかし、生き物を主役にするCM制作には常に過酷な課題がつきまといます。特に北海道犬は、寒さに強く飼い主に忠実である一方、警戒心が強く繊細な気質を持ちます。長時間のライト照射やスタッフの喧騒は、犬にとって強いストレスになりかねません。
2014年の交代劇において、制作チームは単に別のタレント犬を探すのではなく、カイくんの血筋を守りつつ「2頭体制(カイト&カイキ)」を採用しました。「じっと座って演技をするシーン」と「元気に走ったり動き回るシーン」で兄弟それぞれの得意分野を活かし、撮影時間を半分に分散させる工夫が施されたのです。この現場の創意工夫こそが、白戸家シリーズを15年以上継続させた最大の要因と言えます。