シャアのスピードを語る上で欠かせないのが、卓越したシャア・アズナブル自身の操縦技術です。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』などでも克明に描かれている通り、シャアはバーニアの推進力だけに頼らず、宇宙空間の障害物や敵戦艦そのものを足場にして加速する変則機動を得意としていました。
宇宙空間での運動方程式($F=ma$)において、推進剤の噴射だけでは得られる加速度に限界があります。そこでシャアは、敵艦の装甲板や浮遊するデブリをモビルスーツの強靭な脚部で思い切り蹴り飛ばす(キックする)ことで、運動エネルギーの反作用を一瞬で獲得。推進剤を節約しながら急激な方向転換と爆発的な二次加速を実現していました。
母艦やデブリの質量を利用したこの立体的な機動は、計器上の数値を超えた錯覚を相手に与えます。予測不能な軌道から突如として眼前に現れる戦闘スタイルこそが、数値以上の「3倍の体感速度」を生み出していた本質です。