アルゴリズムが個人の好みを先回りし、短尺動画が消費される現代。映画批評業界全体が大きな曲がり角に直面しているのは紛れもない事実だ。
ファスト教養がもてはやされる時代にあって、あえて長文のディープな批評を提示し続ける試みは、一見すると時代逆行に思えるかもしれない。しかし、ファストフード的な情報消費に疲弊した映画ファンたちは、より濃密で信頼できる知性のアジール(避難所)を求めていた。動画配信サービスによって無数の作品へ瞬時にアクセスできるようになったからこそ、作品の真価を峻別するプロの眼光が、かつてないほど切実に求められているのだ。