本作の誕生背景には、急成長を遂げる東南アジアのコンテンツエコノミーが存在する。特にベトナム映画協会は、今回のプロジェクトに対して異例とも言える大規模な撮影支援と資金面での助成を行った。文化支援にとどまらず、自国のクリエイターを世界的ステージへと押し上げる国家的な足がかりとする意図が透けて見える。
長年、欧米や韓国の後塵を拝してきた東南アジアの映画産業だが、ここ数年の技術革新と表現の成熟度は著しい。ローカルな叙情性とグローバルなマーケットに耐えうるクオリティの融合。ベトナム映画協会が提示した新たなビジョンは、アジア全体の映画製作のあり方に一石を投じることになる。