事故が発生した直後、現場の初動対応が生涯の運動機能を左右します。最も重要なのは、切断指の適切な保存方法と、患部側の確実な止血です。切断部位からの出血に対しては、清潔なガーゼや布を厚めに当てて強く圧迫する「直接圧迫止血」を行います。緊縛止血(紐などで強く縛る行為)は末梢組織の壊死を招く危険があるため、原則として避けるのが鉄則です。
切断された指の取り扱いには厳密なルールが存在します。絶対に避けるべきなのは、指を直接氷や水につける行為です。組織が水浸しになって細胞が破壊されたり、凍傷を起こして再接着が不可能になります。
【切断指の正しい3ステップ保存法】
① 生理食塩水(なければ清潔な水道水)で湿らせて固く絞った清潔なガーゼで切断指を包む。
② それを乾いたビニール袋やジッパー付き保存袋に入れ、しっかりと口を閉じて完全密封する。
③ 氷と水を1:1の割合で入れた容器や袋の中に、密封した袋ごと浸して冷却状態(約4℃)を保つ。
組織が血流を失ってから再灌流(血流再開)されるまでの許容時間は、常温(温虚血)であればおよそ6〜8時間以内、適切に冷却された状態(冷虚血)であれば12〜24時間程度とされています。現代のマイクロサージェリー(微小血管減圧・吻合技術)の進展により、条件が整っていれば指の切断接合手術の成功率は80%〜90%程度に達します。ただし、挫滅(押しつぶされた損傷)や引き抜き損傷を伴う場合は難易度が跳ね上がるため、一刻も早く形成外科や手外科の専門医が常駐する高次医療機関へ救急搬送することが求められます。