麻婆豆腐は木綿と絹どっち?プロが明かす本場の真相と失敗しない選び方

麻婆豆腐は木綿と絹どっち?プロが明かす本場の真相と失敗しない選び方

麻婆豆腐は木綿と絹どっち?プロが明かす本場の真相と失敗しない選び方の基礎知識と応用に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

「本場四川麻婆豆腐はどちらの豆腐で作るのが正統なのか」という問いに対して、ネット上では長年「水分を抜いた硬い木綿豆腐こそが本場流」という言説がまことしやかに語られてきました。しかし、現地取材や現地の文献を紐解くと、本場四川麻婆豆腐における豆腐の真相は単純な木綿・絹の二者択一ではありません。

四川省・成都の伝統的な麻婆豆腐に用いられるのは、現地で「胆巴(タンバー=にがり)」や石膏を絶妙な配合で凝固させた独特の豆腐です。これは日本の木綿豆腐ほど気泡が多くボソボソしておらず、それでいて日本の絹ごし豆腐ほど脆く水分過多ではない、ぷるぷるとした弾力と大豆本来の濃厚なコクを併せ持った独自の食感を有しています。つまり、日本の一般的な枠組みにそのまま当てはめること自体がバイアスだったと言えます。

このギャップを埋め、日本人に合わせた本格四川の境地を切り拓いたのが、「四川飯店」の二代目であり日本の中国料理界を牽引した名匠、故・陳建一氏でした。陳建一氏による本格麻婆豆腐の豆腐の種類といえば、迷わず「絹ごし豆腐」が指定されたことで知られています。自著や数々のテレビ特番の厨房取材において、彼は常々このように語っていました。

「熱烈な辛味と旨味を持つ麻婆餡(タレ)と一体になって、舌の上でふわっととろける官能的な喉越しを生み出すには、きめ細やかな絹ごし豆腐に勝るものはない」

父である陳建民氏が日本に麻婆豆腐を広めた昭和の時代、家庭用の豆腐は木綿が主流であり、崩れにくさから木綿豆腐で作る家庭風レシピが国民的定着を見せました。しかし、陳建一氏が提示した本店の味は、適切な下処理を施すことで「決して崩れない極上の絹ごし麻婆豆腐」を完成させたのです。このプロの技術体系が広く知れ渡ったことで、「本格派=絹ごしも含めた食感の調和」という新たな常識が一気に浸透しました。

池田 達也
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池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。