裏千家の本拠地である今日庵。そこは茶道を志す者にとっての聖地であり、不可侵の領域とされてきた。しかし、内部関係者から寄せられた証言は、その神聖なイメージを根底から覆すものだった。高額な許状(免状)料の配分システムや、使途が極めて不透明な寄付金の徴収など、外部の監査が一切届かない聖域の中で慣例化していた金銭感覚の麻痺が次々と露呈している。
ある古参の茶道関係者は重い口を開いた。「家元への絶対服従を前提としたヒエラルキーの中では、誰一人としてお金の流れに異を唱えることなどできなかった。疑問を口にすれば、茶道界での立場そのものを失うからだ」。伝統の継承という大義名分が、いつしか現場の批判精神を奪い、組織の自浄作用を完全に麻痺させていた実態が浮かび上がる。