いま、国内の宿泊トレンドを大きく塗り替えているのが「音」を主役に据えた滞在型プログラムだ。瀬戸内の風土に包まれた淡路島の静かな山間や、手付かずの針葉樹林が広がる長野・八ヶ岳山麓には、静寂と音響に特化したリトリート施設が続々と誕生している。
滞在中のルールは極めてシンプル。スマートデバイスを専用ボックスに預け、案内人の指示に従ってただ森に佇み、耳を澄ます。会話すら禁じられた数時間を過ごした参加者の多くは、視覚情報に偏りすぎていた知覚が突如として立体的に広がる感覚を証言する。予約枠は数カ月先まで埋まり、リピーターの半数以上が20〜30代のデジタルネイティブ層で占められている点も特徴的だ。