1996年のOCAT(大阪シティエアターミナル)開業期から5階フロアの中核を担ってきたジュンク堂書店難波店。専門書から洋書、人文・理工系学術書まで網羅する「知の殿堂」として機能していましたが、2026年6月30日をもって約24年間の営業に終止符を打ちました。公式発表資料や出版業界の動向データを総合すると、単一の要因ではなく複数の構造的リスクが連鎖した結果であることが分かります。
第一の要因は、OCATという商業立地特有の歩行者動線です。JR難波駅には直結しているものの、地下鉄御堂筋線・千日前線や南海電鉄、近鉄・阪神の主要ターミナルからは地下街(なんばウォーク)を長く歩く必要があり、ミナミの中心的な回遊ルートから外れがちでした。バスターミナル利用者を中心とした流動客はいたものの、1,200坪超のメガ店舗を維持するために不可欠な「目的買い層の日常的な流入」を担保し続けることが年々困難になっていました。
第二に、出版不況とオンラインモールの定着に伴う大型書店の坪効率低下が挙げられます。専門書は単価が高い一方で回転率が低く、広大な売場面積に対する賃料や人件費の固定費負担が重くのしかかります。さらに2026年春のパンデミックによる外出自粛とインバウンド需要の消滅が決定打となり、定期借家契約の満了を機に撤退の決断が下されました。