鰻の質が料理の骨格であるならば、タレはその魂と言える。ここで使われるのは、厳格な目利きで選定された良質なニホンウナギだ。適度な脂乗りと繊細な肉質を持つ上質な鰻に合わされるのが、継ぎ足しによって歴史を紡いできた秘伝のタレである。
何十年もの歳月をかけて無数の鰻の旨味が溶け込んだタレは、決して甘すぎず、醤油の角が取れた深遠なコクを湛えている。タレ甕の中に鰻をくぐらせるたび、脂の甘みと醤油の風味が調和し、味わいはさらに深みを増す。日本料理の伝統美を体現するこの調和は、素材と歴史への敬意なくしては成立しない。