SNSや知恵袋などのコミュニティでは、「友人と同時に髪を切ったのに、あの子だけやたらと伸びるのが早い」「男性ホルモンが多いと早く伸びるというのは本当か」といった疑問が頻繁に交わされています。この成長速度の乖離を解剖する鍵が、毛周期とヘアサイクルの仕組みです。
毛髪は常に伸び続けているわけではありません。毛包の底部にある毛乳頭細胞が指令を出し、毛母細胞が激しく分裂を繰り返す「成長期(2〜6年)」、細胞分裂が急速に衰える「退行期(約2〜3週間)」、そして成長が完全に止まり脱毛を待つ「休止期(約3〜4ヶ月)」という周期を巡っています。頭髪全体にある約10万本のうち、通常は約85〜90%が成長期にあります。
検証の結果、髪が伸びるのが早い人の特徴と理由には、以下の3つの明確な生理的共通点があることが判明しています。
第一に、基礎体温が高く末梢血管の血流が極めて良好である点です。毛母細胞は体内でも最も活発に分裂を行う細胞群の一つであり、そのエネルギー源と酸素はすべて頭皮を走る毛細血管から毛乳頭へと運ばれます。冷え性や低血圧がなく、運動習慣がある人は毛根へのデリバリー効率が段違いに高くなります。
第二に、自律神経の切り替えがスムーズで副交感神経が優位な時間をしっかり確保できている点です。血管を収縮させる過度な緊張状態が少ないため、毛包周辺の血行が滞りません。10代後半から20代前半の若年期に髪の伸びが早く感じられるのも、細胞の新陳代謝率と性ホルモン・成長因子の分泌量がピークにあるためです。
第三に、体内のタンパク質合成能が維持されている点です。髪の主成分である「ケラチン」の生合成が滞りなく行われている人は、1本1本の毛幹が太く強固に押し出されるため、毛先の破断が起きにくく、結果として「伸びるスピードが圧倒的に早い」という視覚的結果に結びつきます。