本作の根底に流れるテーマは、人間の無意識に巣食う「呪縛」に他ならない。過去の罪、血縁の鎖、あるいはデジタル空間で増殖する悪意の連鎖。言葉の響きが示すとおり、『しゅばく』という平仮名表記には、古典的な怪談の因果律と、現代人が逃れられない精神的拘束の両義性が込められている。
近年の日本映画において、本格派のサイコスリラーは商業的なハードルの高さから敬遠されがちだった。しかし本作は、緻密に練られたロジックと冷徹な人間描写で勝負を挑む。謎解きの快感を提示しながら、観る者の倫理観を試すようなミステリー映画の構造は、かつて世界を震撼させたジャパニーズ・ホラーの黄金期を想起させつつ、まったく新しい領域へと到達している。