餅が気道に詰まると、脳への酸素供給が断たれ、わずか数分で意識障害や心停止に陥ります。異変に気づいた周囲の人間が、救急隊の到着を待つ間に迅速かつ正確な応急処置を行えるかどうかが、そのまま生存率を左右します。
気道異物除去の基本的な手順は次の通りです。
1. 声掛けと119番通報の要請
まず「声が出せるか」「咳ができるか」を確認します。声が出ず、喉をかきむしるような仕草(チョーキングサイン)が見られたら、即座に周囲の人へ119番通報とAEDの手配を指示してください。自力で咳ができる場合は、できる限り強く咳をさせ続けます。
2. 背部叩打法(はいぶこうだほう)の実施
咳ができない場合、直ちに背部叩打法を行います。傷病者の後ろ斜めに立ち、片手で胸を支えて前傾姿勢をとらせます。もう一方の手のひらの付け根(手掌基部)を使い、左右の肩甲骨の間を力強く、叩き出すように連続して強く叩きます。
3. ハイムリック法(腹部突き上げ法)のやり方
背部叩打法で出ない場合、意識があればハイムリック法へ移行します。傷病者の背後に回り、両腕を脇から通して腹部を抱え込みます。片手で握り拳を作り、みぞおちとおへその中間あたりに当てます。もう一方の手でその拳を握り、手前上方に向かって素早く力強く引き上げます。※妊婦や1歳未満の乳児には内臓損傷のリスクがあるためハイムリック法は行わず、背部叩打法のみを実施します。
意識を失った場合は異物除去の動作を中止し、ただちに通常の心肺蘇生法(胸骨圧迫)を開始してください。