連日のように猛暑日が続く日本の夏。かつて歳時記が定めた「夏」の概念は、急激な地球規模の環境変化によって大きな試練を迎えている。5月上旬の立夏にはすでに真夏日を記録し、かつて「初夏」の爽やかさを象徴していた季語が、実生活の体感温度と乖離しつつあるのだ。
歳時記の編纂に携わる専門家たちの間でも、議論が紛糾している。「汗」「短夜(みじかよ)」「夕立」といった言葉が持つ本来の情緒が、命の危険を感じさせる酷暑や大雨のリアルとどう折り合うのか。しかし、この危機感こそが、現代人に季節の微細な変化へ目を向けさせるトリガーとなった。ただ暑さを嘆くのではなく、一瞬の涼風や木漏れ日の陰影を言葉としてすくい取る。気候変動の時代だからこそ、人々は季語という解像度の高いレンズを求めている。