今回検出された化学物質は、単に肌がかぶれるといった一時的な影響にとどまらない。専門家が最も懸念しているのは、継続的な着用や皮膚接触による毒性の体内蓄積だ。
フタル酸エステル類は、プラスチックを柔らかく加工するために多用されるが、環境ホルモンとして作用する。環境医学の研究者によれば、長期間にわたって皮膚や汗を通じて微量が吸収されると、精子数の減少や不妊症、胎児の発育異常といった生殖不全を引き起こす危険性があるという。幼少期の暴露は特に発達に影響を与えるため、子供服への混入は極めて悪質とみなされている。
さらに、重金属・カドミウムや鉛、ホルムアルデヒドの組み合わせは最悪の相乗効果をもたらす。カドミウムは国際がん研究機関(IARC)でグループ1(ヒトに対して発がん性がある)に分類される確実な発がん性物質だ。腎臓障害を引き起こすだけでなく、数年から数十年をかけて骨を脆くする。また、強烈な揮発性を持つホルムアルデヒドは呼吸器を刺激し、慢性的な白血病や鼻咽頭がんの発症率を向上させることが知られている。