言語の背景には、常にその言語圏の文化や社会構造が反映されています。日本語の「健康」という言葉は、明治期の近代化過程で西洋医学の「Health」の訳語として定着した歴史がありますが、日本社会においては「無病息災」や「周囲に迷惑をかけない慎み深い生活態度」といった道徳的・共同体的なニュアンスを色濃く含んできました。
一方、英語圏における「health」および「wellness」は、個人の自律性(Autonomy)と密接に結びついています。自己のパフォーマンスを最大化し、自己責任において生活をコントロールするという「個の確立」が根底にあるのです。
したがって、英語で健康について語る際は、文脈と聞き手に応じた使い分けが不可欠となります。
- おすすめできる表現の選択基準:
- 医療機関や公的文書での事実申告:客観的な事実を示す「health condition」「medical history」を使用。
- 友人や同僚とのポジティブな雑談:活動的な印象を与える「healthy habits」「keep fit」を選択。
- 人事労務やウェルビーイング施策:自発的な行動変容を促す「wellness program」を採用。
- 避けるべき表現の判断基準:
- 形容詞を置くべき主語の補語に「I am health.」と名詞を直結させること。
- 「健康に良い」と物を形容する際に「good health」をそのまま形容詞的に代用すること(「healthy」や「beneficial for health」を使うべき)。