ガスロースターではなく、頑ななまでに七輪と炭火にこだわる。この原始的な熱源こそが、肉の旨味を極限まで引き出す絶対条件だ。タレの焦げる芳香が充満する店内は、決して気取った空間ではない。だが、そこには研ぎ澄まされた緊張感がある。芸能界屈指の肉通として知られる寺門ジモンのような狂信的な愛好家たちが、一切の妥協を許さずに肉のクオリティを追い求めるのと同質の狂気が、この厨房には宿っている。
包丁を入れる角度ひとつで、繊維のほどけ方が変わる。店主の手元を見つめていると、肉の部位ごとにミリ単位で刃先をコントロールしているのがわかる。一切れの肉に対するこの執念こそが、並み居る強豪ひしめく焼肉の世界で、圧倒的な存在感を放ち続ける最大の理由だ。