黒木瞳といえば、かつて宝塚歌劇団の月組トップ娘役として一世を風靡した伝説的な宝塚OGだ。当然のように、娘である彼女にも「宝塚入り」の期待が重くのしかかっていた。一時期、宝塚音楽学校の受験準備を進めているとの説が浮上したものの、最終的にその門をくぐることはなかった。
母と同じ舞台に立つという夢は、あまりにも巨大な比較対象との戦いを意味する。親子関係が良好だからこそ、母の偉大さを誰よりも理解していた彼女は、安易に同じ道を歩むことを避けたのだろう。宝塚という伝統ある世界を尊重しつつも、自分の物語は自分の手で書くという強い意志の表れであった。