近年の医療・ヘルスケア産業の発展は目覚ましい。免疫療法やゲノム医療の確立によって、かつて不治の病と恐れられた病態にも次々と新たな光が射し込んでいる。NHKスペシャル「がん治療革命」などの特集が大きな反響を呼んだように、治癒への道筋は格段に多様化した。
それでも、闘病・病気平癒祈願へと向かう人々の波が引くことはない。どれほど優れた抗がん剤や手術手技が存在しても、治療に伴う激しい副作用や再発の恐怖、孤独感を完全に消し去ることはできないからだ。身体のケアを医師に委ねつつ、心の拠り所を神域に求める行為は、決して非科学的な現実逃避ではない。自らの内なる生命力を呼び覚まし、前を向いて治療に臨むための前向きなメンタルケアとして機能している。