軽快でコロコロとした美しい高音の響きから、華やかな祝祭の歌と誤解されがちですが、ドイツ語の原詩に目を向けると、そこには凄惨な呪詛と脅迫の言葉が並んでいます。
夜の女王は、夜陰に乗じてザラストロの神殿に忍び込み、娘パミーナの手に一本の鋭い短剣を握らせます。そして歌われるのが、以下の衝撃的なフレーズです。
「復讐の炎が地獄のように私の心に燃え盛る。死と絶望が私の周りで燃え盛る!お前がザラストロに死の苦痛を与えないなら、お前はもう私の娘ではない。永久に見捨てられ、永久に縁を切られる。母と子のすべての絆は永遠に断ち切られるのだ!」
自らの復讐心と権力欲を満たすため、実の娘に対して「仇敵を暗殺しなければ親子の縁を切る」と宣告する場面です。あの鳥のさえずりのようにも聴こえるハイFの超絶技巧は、母親としての愛情を完全に喪失し、憎悪の炎で理性を焼き尽くされた女王の「狂気の発作」そのものを表現しています。