皮膚科や美容クリニックの受診動機として最も多い「シミの悩み」ですが、臨床現場の診断において、患者本人の自己申告と専門医の確定診断が一致しないケースは約4割以上にのぼります。特に多い誤認が、老人性色素斑と肝斑の混同です。
一般的なシミの代表格である老人性色素斑は、長年浴び続けた紫外線ダメージ(光老化)が主原因であり、メラノサイトが恒常的にメラニンを過剰生成することで生じます。特徴として、輪郭がコインのようにくっきりと際立っており、日光が当たりやすい頬の高い位置やこめかみ、手の甲などに単発または散発的に現れます。
一方の肝斑は、30代から50代の女性に好発する後天性の色素異常症です。紫外線だけでなく、妊娠・経口避妊薬の服用・更年期といった女性ホルモン乱れ、さらには日常的な洗顔やクレンジングによる物理的摩擦が複合的に関与して発症します。視覚的な最大の特徴は、頬骨のラインに沿って蝶が羽を広げたように現れる「左右対称モヤモヤ」とした薄茶色の影です。老人性色素斑とは異なり、境界線がぼやけており、皮膚の奥からじわじわと色素が浮き出ているように見えます。
自宅で手軽に行える肝斑セルフチェックの基準として、以下の3点に該当するかを確認してください。 1つ目は「左右の頬骨や額にほぼ対称に広がっているか」、2つ目は「目の周囲(特に上まぶたや目の直下)だけ色が抜けているか」、3つ目は「30代に入ってから急に顔全体がくすんで見えるようになったか」です。これらに当てはまる場合、まずは肝斑の存在を前提としたスキンケアへシフトする必要があります。