古谷和也を語る上で、父・古谷道生の存在を避けて通ることはできない。古谷道生は、途絶えかけていた信楽の伝統的な穴窯焼成を現代に蘇らせ、世界的な評価を獲得した伝説的陶芸家だ。父の背中を見て育った和也にとって、陶芸は生活の一部であり、同時に越えるべき巨大な山でもあった。
若い頃の和也は、父の威光に対する葛藤を抱えていた。どれほど素晴らしい作品を作っても「道生の息子」というラベルがつきまとう。しかし、2000年代初頭に父が急逝。若くして窯を守る重責を担うこととなった和也は、父の模倣から脱却し、自分自身の造形美を模索し始めた。
父が遺した穴窯の構造を学び直し、薪のくべ方や窯の詰めに独自の工夫を加える。父の豪快さを引き継ぎながらも、どこか繊細で現代的な佇まいを宿す作品。それこそが、古谷和也という一人の作家が勝ち取った独自の表現スタイルだった。