事業所が職員に対してこの研修の受講を強く推奨し、費用を補助してまで派遣する最大の動機は、制度的な報酬体系に直結している点にあります。障害福祉サービスにおける強度行動障害支援加算は、適切な支援計画に基づき高度なケアを提供できる事業所を財政面から評価する仕組みです。 厚生労働省のガイドラインでは、行動障害を持つ利用者の受け入れ拒絶や不当な身体拘束を根絶するため、専門研修を修了した職員の配置を強く義務付けています。2026年の報酬改定以降、身体拘束廃止未実施減算の厳格化や中核的人材の配置評価が進み、2026年最新報酬改定においてもこの潮流はさらに加速しています。重度障害者や著しい行動障害児者を受け入れる体制を維持するためには、実践研修修了者が在籍していなければ算定できない単位数が数多く存在するのです。 この制度的要請は、働く現場職員の処遇改善加算と給料手当にダイレクトに跳ね返っています。 公式発表資料や障害福祉事業所の求人動向を精査すると、強度行動障害支援者養成研修(実践研修)の修了者に対し、以下のような給与優遇措置を講じる法人が一般的になっています。
第一に、資格手当や専門手当としての支給です。事業所によって月額5,000円〜20,000円程度の手当が基本給に上乗せされる事例が見受けられます。
第二に、新加算体系に基づく一時金・賞与の増額配分です。福祉・介護職員等処遇改善加算の一本化に伴い、高度な専門研修修了者やリーダー級職員に対して傾斜配分を行う事業所が増えており、年収換算で15万円〜30万円前後の処遇格差が生じることも珍しくありません。
また、外出支援を主軸とする「行動援護」サービスに従事する場合、かつては別の資格と見なされていた行動援護従業者養成研修との関係性も重要です。現行制度では、強度行動障害支援者養成研修の基礎・実践の両方を修了し、指定の実務経験(知的・精神障害者への直接支援経験)を満たすことで行動援護の従事要件を充足できるため、資格としての汎用性は飛躍的に高まっています。