エンターテインメントの現場において、この言葉の扱い方に大きな転換をもたらしたのが出版業界の深化だ。従来の記号化されたキャラクター造形から脱却し、ひとりの人間としての生活や葛藤を丁寧に描く作家たちが脚光を浴びている。
吉永史による名作『きのう何食べた?』は、中年ゲイカップルの日常と食卓を通して、性的な役割論を超えたパートナーシップの現実を淡々と、かつ温かく描き出した。一方、豊田悠の『チェリまほ(30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい)』は、ピュアな恋愛感情と相互尊重のプロセスを丁寧に追い、従来の「タチ・ネコ」や「攻め・受け」の枠組みを心地よく解体してみせた。どちらの作品も、ラベルで人を区切ることの野暮さを提示し、読者に深い共感を与えている。