140年以上続いた工事のフィナーレが見えてきた一方で、バルセロナ現地では「完成後」に向けた新たな地域紛争が表面化しています。
最大の争点となっているのが、南側のメインゲートとなる「栄光のファサード」の前に建設が予定されている巨大な大階段とアプローチ広場の計画です。ガウディの当初設計では、大通り(マヨルカ通り)を跨ぐ壮大な空中階段が描かれていました。
しかし、建設が遅れていた140年の間に、教会の正面側には民間のマンションや商業ビルが密集してしまいました。当初の設計通りに大階段を造る場合、約1,000世帯・3,000人規模の住民が立ち退きを迫られる計算になります。地元住民団体は「生活の場を奪う過剰な観光開発だ」として猛反発しており、市議会や建設委員会との間で補償や設計変更を巡る熾烈な議論が続いています。
さらに、完成に伴う観光客のさらなる集中によるオーバーツーリズム(観光公害)の悪化も懸念材料です。巨大な工事用クレーンが空から消え去った後のサグラダ・ファミリアは、建設から「保全・修復と地域共生」という新たなフェーズへと舵を切ることになります。