ペレが切り拓いた10番の伝説を、絶対的なカリスマ性へと引き上げたのがアルゼンチンのディエゴ・マラドーナです。1986年メキシコW杯で見せた「神の手」と「5人抜きドリブル」は、1人の力でチームを世界一に導く10番の圧倒的な影響力を世界に知らしめました。マラドーナにとって10番は単なる記号ではなく、自身のアイデンティティそのものでした。
以降、1980年代から2000年代にかけて、ミシェル・プラティニ、ジーコ、ロベルト・バッジョ、ジネディーヌ・ジダン、ロナウジーニョといった天才たちが10番を背負い、ピッチの中央で決定的なパスを繰り出す「司令塔(トップ下)」として君臨します。彼らは卓越したテクニック、広い視野、そして1本のパスで局面を打開する閃きを持ち、攻撃の全権を委ねられる存在でした。
そして21世紀、この系譜の頂点に立ったのがリオネル・メッシです。FCバルセロナでロナウジーニョから10番を継承し、アルゼンチン代表でもマラドーナの影という巨大なプレッシャーと戦い続けました。メッシは2026年カタールW杯で悲願の優勝を果たし、10番という番号に新たな不滅の神話を加えました。メッシの10番は、司令塔の枠組みを越えて「得点王であり、最高のアシスト供給者であり、戦術そのもの」という究極のエース像を確立したのです。