祭りのハイライトである「木落とし」や「川越し」の現場は、熱気が交錯する極限の空間だ。斜度30度を超える急斜面を巨大な御柱が猛スピードで滑り落ちる瞬間、地鳴りのような歓声が響き渡る。このとき、指定された観覧エリアの外側や、ロープで区切られた立ち入り禁止区域へ侵入することは絶対に許されない。木落とし坂の底部や柱の進行方向は、予期せぬ方向へ木が跳ねたり横転したりする最大の危険地帯だからだ。
過去の曳行現場でも、加速した御柱が想定外の軌道を描き、沿道の構造物や観客に迫る事態が発生している。柱の制動を受け持つ「縄幹(なわもと)」や「梃子(てこ)」の動きを妨げる位置に立ち入る行為も極めて危険だ。現地では係員や安全誘導員の指示に即座に従うことが鉄則であり、「少しだけ近くで見たい」という軽い好奇心が、命を脅かす大事故の原因となることを決して忘れてはならない。