1995年4月、NHK総合テレビジョンで始まったこのテレビ放送は、従来の固定観念を根底から覆した。重厚で厳粛なアプローチが主流だった時代劇というジャンルに、舞台演出ならではのライブ感溢れるコメディ要素を大胆に持ち込んだのだ。スタジオ内につくられた精巧なセットの上で繰り広げられる庶民の日常模様は、笑いの中に温かみと哀愁を宿していた。
番組の軸となったのは、笑いの真髄を知り尽くした名優・伊東四朗の卓越した演技力と存在感だ。さらに、劇団主宰の佐藤B作をはじめとする劇団東京ヴォードヴィルカンパニーのメンバーが多数参加。息の合った掛け合いと圧倒的なテンポ感で、画面狭しと暴れ回った。この『コメディー お江戸でござる』は、一回完結の軽妙な芝居と解説コーナーが二重奏を奏でる、画期的な構成で一時代を築いたのである。