「会社の指示だから従わなければ処分されるのでは」という恐怖感は、今なお根強く存在する。しかし、業務上の正当な必要性がない不当な配置転換や、生活上に著しい不利益を伴う異動決定に対しては、労働者側に一定の拒否権が認められるケースが増えている。
とりわけ重要視されるのが、育児や家族の介護を担う労働者に対する企業の配慮義務だ。厚生労働省が定める指針や育児・介護休業法第26条では、事業主に対して転勤を命じる際の特段の配慮を強く求めている。介護や育児などの切実な事情がある場合、会社の一方的な辞令は権利の濫用として無効と判断される裁判例も確実に蓄積されてきた。