この日の登板マウンドに上がったエースピッチャーは、立ち上がりからエンジン全開の投球を見せた。150キロ台後半のフォーシームと落差の大きい変化球を組み合わせ、相手打線に的を絞らせない。キャッチャーの構えたミットへ吸い込まれる一球一球に、観客席からは歓声とため息が交互に漏れ出していた。
ゲームが動いたのは中盤のインニング。カウント2-3からのスライダー。ほんのわずか中に入った甘いボールを逃さなかった主砲の一発が、重苦しい空気を切り裂いた。球種選択のわずかな迷いが、そのままスコアボードに刻まれる酷な現実。これぞメジャーリーグ最高峰のサスペンスだ。