興味深いことに、「仕方がない」という思考の深層は、古代ローマのストア派哲学と驚くほど見事な一致を見せている。マルクス・アウレリウスやエピクテトスが唱えた「自分がコントロールできるものと、できないものを厳密に区別する」という命題は、まさにこの日本語の核心そのものだ。
さらに、世界的なウェルネスの潮流となったマインドフルネスの教えとも深いレベルで共鳴する。マインドフルネスが追求する「現実に価値判断を下さず、ただありのままを観察し受け入れる」というアプローチは、「仕方がない」と口にして自らの怒りや焦燥から一歩距離を置くメンタルワークと一致する。
言語や文化の壁を超えて、人類が過酷な現実に耐えうる精神の平穏を買い求める中で到達した共通の英知。それが、私たちが日常的に使うこのフレーズに包含されている。