館内を巡るにあたり、必ず押さえておくべきハイライトが3つの歴史的・科学的エポックです。それぞれが独立した物語を持ち、来館者に強い感銘を与えています。
第1の見どころは、歴史の光と影を今に伝える三沢航空科学館の零戦展示と、十和田湖底から引き揚げられた奇跡の機体です。展示されている「零式艦上戦闘機二一型」の精巧な実寸大模型は、映画撮影などにも使用された極めて高い完成度を誇り、当時の日本の航空技術水準の高さを雄弁に物語ります。さらに見学者の足を止めさせるのが、1943年に十和田湖に不時着水し、約69年後の2012年に湖底から引き揚げられた旧日本陸軍の「一式双発高等練習機」です。淡水に沈んでいたため腐食が少なく、計器盤や機体フレームが生々しい質感を保ったまま保存されており、関係者の証言資料とともに展示されるその姿は、戦争の過酷さと技術者たちの執念を静かに訴えかけてきます。
第2のハイライトは、地元三沢の誇りである三沢航空科学館のミスビードル号の復元機です。1931年10月4日、クライド・パングボーンとヒュー・ハーンドンJr.の2名が搭乗した真っ赤な機体は、三沢の淋代(さびしろ)海岸から飛び立ち、約41時間の過酷な飛行を経てアメリカ・ワシントン州ウェナッチへの着陸に成功しました。この世界初の快挙を支えた地元住民の支援活動や、空気抵抗を極限まで減らすために離陸直後に主脚を切り離した決死の飛行計画など、ドラマに満ちたエピソードを知ることで、目の前の赤い機体が帯びる輝きは格段に増します。
そしてリニューアルによって劇的な進化を遂げたのが、三沢航空科学館の宇宙ゾーンにおける体験型展示です。従来の航空領域から地球周回軌道、さらには深宇宙探査へと視界を広げたこのエリアでは、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」の内部構造を学べるほか、月面での重力(地球の約6分の1)をリアルに体感できる「ムーンジャンプ」などの大型装置が稼働しています。大人が体験しても重力からの解放感に驚嘆する設計となっており、宇宙物理学の基礎を直感的に理解できる秀逸な動線が確保されています。