奈良岡朋子さんは1929年(昭和4年)12月1日、東京市本郷区(現・東京都文京区)に生まれました。父は日本美術界で重鎮として知られた洋画家の奈良岡正夫氏(日展常任理事)であり、幼少期から豊かな芸術的感性に囲まれて育ちました。
若い頃の奈良岡さんは、当初画家を目指して女子美術専門学校(現・女子美術大学)洋画科へ進学します。しかし戦後の混乱期、友人に誘われて観劇した舞台で演劇の持つ圧倒的な力に魅せられ、役者の道を志す決意を固めました。
1948年、民衆芸術劇場付属俳優養成所に入所し、1950年の劇団民藝創立に参加。滝沢修氏や宇野重吉氏といった新劇界の巨頭たちから直々に厳しい薫陶を受けました。若い頃から卓越した演技力と明晰なセリフ術で頭角を現し、劇団の看板女優、そして後には代表取締役として長年にわたり劇団民藝の精神的支柱を務め上げました。