小林稔侍の俳優人生を語る際、切っても切り離せない人物が昭和の大スター・高倉健だ。若い頃から高倉を兄のように慕い、私生活でも深い交流を続けたことは有名なエピソードである。撮影現場での立ち振る舞いから生き様まで、高倉から受け継いだ美学は、彼の芝居の根底に力強く脈打っている。
その師弟の絆が最高の形で昇華したのが、映画『鉄道員(ぽっぽや)』だ。過酷な雪山で愚直に生きる鉄道員たちを描いた名作において、小林は見事な助演を魅せ、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞した。言葉少なに語る背中、目線の動き一つで感情を伝える熟練の技は、今なお多くの映画ファンの胸を打つ。