当時の前田裕二を語る上で外せないのが、社会現象となった著書『メモの魔力』である。日常のあらゆる事象を抽象化し、自らのアクションへと転換するその思考法は、ビジネスパーソンのみならず若者層にも強烈な影響を与えた。執筆、講演、メディア出演、そして自社サービスの機能拡充。彼のスケジュールは秒単位で埋め尽くされていた。
折しもライブストリーミング・IT産業は、大手資本の参入や新たな動画フォーマットの台頭によって激動の競争環境へと突入していた。会社を守り、コミュニティを育て、産業を牽引する重責。そのプレッシャーの渦中にいた彼にとって、プライベートな時間を十分に確保することは極めて過酷な挑戦だった。