なぜこれほどまでにスズメは姿を消しつつあるのか。長年スズメの生態と行動を追い続けている鳥類学者であり、本テーマの第一人者である三上修教授は、その主因として「営巣場所の喪失」と「餌環境の悪化」の二重苦を挙げる。
従来、スズメは瓦屋根の隙間や戸袋、古風な木造建築の構造部分に好んで巣を作ってきた。しかし、現代の都市部に立ち並ぶ気密性の高いモルタル住宅や金属系サイディング、ガラス張りのオフィスビルには、鳥が巣をかける隙間など存在しない。さらに、農薬の効率化やアスファルト舗装の拡大によって、雛の成長に不可欠な青虫やイモムシなどの昆虫類が激減。育雛期における栄養不足が、新世代の生存率を著しく低下させていると三上教授は分析する。