メーカーの自主規制を後押しした最大の要因が、厚生労働省が策定・公表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」である。この指針では、従来の「飲酒量(ミリリットル)」ではなく、摂取する「純アルコール量(グラム)」に着目した適正飲酒の基準が明確に示された。
ガイドラインの策定にも深く関わった国立病院機構久里浜医療センター名誉院長の樋口進医師は、長年にわたりストロング系飲料の危険性に警鐘を鳴らし続けてきた専門家だ。樋口医師は、人工甘味料や強い果汁感によってアルコールの刺激が隠され、ジュース感覚で急激に飲めてしまう構造そのものが、依存症や急性アルコール中毒のリスクを跳ね上げていると指摘する。
厚生労働省の指針が示す生活習慣病のリスクを高める飲酒量は、1日あたりの純アルコール摂取量で男性40g以上、女性20g以上とされる。度数9%の缶チューハイ(500ml)を1本飲んだ場合、含まれる純アルコール量は約36g。つまり、ロング缶1本を飲み干すだけで、成人男性の1日の許容量上限に迫り、女性であれば即座に基準値を大幅オーバーしてしまう計算になる。この数字の可視化が、消費者の健康意識に冷や水を浴びせる結果となった。