歴史的な背景を振り返ると、伊藤博文千円札の発行期間はいつからいつまでだったのかが見えてきます。この紙幣は1963年(昭和38年)11月1日に発行が開始され、1986年(昭和61年)1月4日に支払停止となりました。約22年余りにわたって高度経済成長期からバブル前夜の日本経済を支え続けた、昭和を代表する紙幣です。
では、なぜ親しまれていた伊藤博文から夏目漱石千円札への変更理由が生じたのでしょうか。最大の要因は、1980年代初頭におけるカラー複写機や印刷技術の急速な進化です。偽造犯罪の手口が巧妙化するなか、昭和30年代に設計されたC号券の偽造防止技術では対応が難しくなり、マイクロ文字や特殊発光インキなどを盛り込んだ「日本銀行券D号(夏目漱石)」へと刷新されることになりました。
伊藤博文の千円札には、発行前期に印刷された「黒色記番号」と、後期(1976年以降)に偽造対策強化の一環としてインク色を変更した「青色記番号」の2種類が存在します。このインク色の違いも、現在の査定額を左右する重要な指標となっています。