「胸が締め付けられるような激痛」という従来イメージだけに頼るのは危険だ。日本循環器学会が公表した症例データベースの解析によると、心筋梗塞を発症した患者の約3割が、発症前に「非定型」と呼ばれる前兆症状を経験していた。その代表格こそが、左肩や背中の中央部に走る謎の鈍痛である。
厚生労働省の最新人口動態統計を見ても、心血管疾患は日本人の死因上位を占め続けており、年間多くの命が奪われている。国立循環器病研究センターの臨床研究チームは、「特に高齢者や糖尿病の持病を持つ患者、女性においては、胸痛を感じにくく、肩の違和感や歯の痛み、全身の倦怠感のみで心筋梗塞が進行するケースが目立つ」と強い警鐘を鳴らしている。胸が痛くないからといって安心することは、大きな落とし穴となり得る。