昭和後期から平成にかけて養蚕農家が激減するとともに、まゆ玉飾りを家庭で行う風景は急速に減少した。地域の高齢化が進む中、この美しい習俗を絶やしてはならないと立ち上がったのが「信州伊那谷小正月伝承プロジェクト」だ。地元の若手農家、郷土史研究家、移住者たちが連携し、枝の切り出しから粉の選定、伝統の細工技術のアーカイブ化を進めている。
長野県立歴史館に眠る文献調査や聞き取り調査を進め、集落ごとに微妙に異なっていた飾りの形状や歌、唱え言葉を記録する活動は、信濃毎日新聞デジタルなどの地域メディアでも度々報じられ話題を呼んできた。プロジェクトのメンバーは「単に昔を懐かしむのではなく、人が集まり、手を動かし、季節の移ろいを祝う場としてまゆ玉を現代に再定義したい」と熱く語る。学校の授業や放課後活動への出前講座も積極的に行われ、子どもたちが楽しそうに団子を丸める姿が再び日常の光景になりつつある。