蕎麦本来の風味を極限まで堪能したいなら、つなぎを一切使わない「十割そば」に辿り着く。しかし、十割は実に繊細だ。切れやすく、扱いが極めて難しいため、職人の技量がダイレクトに杯に反映される。池袋の名店で提供される手打ちの十割は、滑らかな喉越しと力強い風味が見事に同居している。
まずは何もつけずに数本を手繰る。口いっぱいに広がる穀物の野性味あふれる甘み。続いて、ほんの少しの塩で手繰れば、素材の持つポテンシャルが鮮烈に開花する。極上のそば粉と水、そして職人の手技が揃って初めて完成する至高の味わい。これぞまさに、日本料理の神髄を体現した究極のシンプルさと言えるだろう。