新福島エリアのアイデンティティを語る上で欠かせないのが、重層的な飲食カルチャーの存在です。大手飲食チェーンの大型店舗が並ぶ幹線道路沿いとは対照的に、一歩路地へ入ると古民家を再生した個性あふれる名店が軒を連ねています。
昼どきの路地裏では、新福島駅周辺のグルメランチを求めるオフィスワーカーや食通で行列が生まれます。全国のラーメンフリークが訪れる自家製麺の名店、スパイスの調合にこだわった先鋭的なカレー店、近海鮮魚を破格の日替わり御膳で提供する小料理屋など、ジャンルを問わず激しい切磋琢磨が繰り広げられています。
夜の帳が下りると、街は上質な大人の社交場へと姿を変えます。接待や会食にも使われる隠れ家的な割烹から、ナチュールワインと小皿料理を気軽に楽しめるバル、職人の技が光る焼き鳥店まで、新福島駅界隈の居酒屋ディナーは関西屈指の密度を誇ります。現地で15年にわたり飲食店を営む店主は、街の変遷について次のように語ります。
「この界隈に来るお客さんは味に対して非常にシビアです。単におしゃれなだけでは残れません。本物の技術と独自のこだわりを持った個人店同士が刺激し合っているからこそ、全国から人が集まる激戦区になりました」
さらに近年では、散策の合間に立ち寄れる隠れ家的な穴場カフェも急増。古書やアートを取り入れた空間設計や自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供する店舗が点在し、休日の散策ルートとしても高い人気を博しています。