キャベツという野菜は、全体の90%以上が水分で構成されている。この水分を「外に逃がして生地を水っぽくさせるか」、それとも「細胞膜の中に閉じ込めて蒸し焼き状態にするか」が、仕上がりの軽さを決める決定打となる。ここで極めて重要なのが、近年の調理科学分野でも再評価されている葉脈の方向性だ。
外食・フードサービス産業の現場で日々鉄板に向き合うプロフェッショナルたちは、包丁を入れる角度ひとつで細胞の破壊率が劇的に変化することを知っている。繊維に沿って切れば細胞壁が壊れにくく余分な水分が出ないためシャキシャキ感が残り、逆に繊維を断ち切るように刻めば加熱時に甘みが急速に引き出され、生地全体の一体感が増す。家庭で陥りがちな「重たくて粉っぽいお好み焼き」は、不揃いなカットによって余計な水分が流出し、粉と混ざり合って粘り気(過剰なグルテン)を生み出してしまうことが主因なのだ。