「多動があるからADHD、こだわりが強いからASD」と単純に二分できないのが発達障害の複雑な側面です。米国精神医学会の診断基準『DSM-5』以降、ASDとADHDの併存診断が正式に認められるようになり、臨床現場での認識は一変しました。
近年の臨床データによると、多動と自閉症の併発割合は約30%〜50%にのぼると報告されています。ASDと診断された子どもの約3人に1人以上がADHDの特性を併せ持ち、逆にADHDと診断された人がASDの特性を持つケースも珍しくありません。
自閉スペクトラム症と多動の併発を見抜くサインとしては、以下のような複合パターンが挙げられます。
・極端な興味の偏り(ASD)がありながら、集中が長続きせず次々と別の刺激へ移る(ADHD)
・マイルールに強くこだわる(ASD)一方で、不注意による忘れ物やケアレスミスを頻発する(ADHD)
・人付き合いが苦手で孤立を好む(ASD)が、会話に入ると衝動的に割り込んで一方的に喋り続けてしまう(ADHD)
これらのサインが重なると、本人の葛藤やストレスは増大しやすくなります。診断においては、専門医が行動観察や発達歴の聞き取り、WISCなどの心理検査を多角的に組み合わせ、慎重に評価を行います。