「昔のミルキーはもっと濃厚で、後味が濃厚ミルクそのものだった」「いや、今のほうがすっきりして食べやすい」。ネット上で定期的に巻き起こるこの論争について、製菓・キャンディ製造業の技術的背景を紐解くと興味深い事実が浮かび上がる。
ミルキーが誕生した昭和26年(1951年)、日本は戦後の混乱期を脱しつつあった。水飴と練乳を主原料とし、無着色・無香料にこだわった当時のレシピは、甘味に飢えていた子どもたちにとって衝撃的なごちそうだった。技術の進化に伴い、加熱温度や練り上げプロセスの微調整が行われてきたものの、実は核となる乳成分の比率や基本理念は脈々と受け継がれている。時代ごとに人々の嗜好が「濃厚さ」から「後味の軽やかさ」へと移り変わる中で、不二家は微小な原料選定のアップデートを重ねてきた。舌の記憶が美化されている側面も否定できないが、風味の細やかな変遷は確かに存在したのだ。