back number恋の実話の真相を追う上で欠かせないのが、コンポーザーである清水依与吏の原体験です。そもそも「back number(型落ち・過去の遺物)」というバンド名自体、高校時代に付き合っていた女性を別の男性に奪われ、「振られた自分は彼女にとって型落ちの存在だ」と自嘲したことに由来することはファンの間でも広く知られています。
当時の音楽雑誌の特集インタビューや制作記録によると、清水依与吏作詞エピソードの中で彼は一貫して「自分の中にある一番カッコ悪い部分、情けない感情を隠さずに言葉にする」と語っています。多くのミュージシャンが美談として昇華させがちな青春の挫折を、清水はあえて泥臭い未練や劣等感のままノートに書き殴りました。
『恋』に登場する校舎の情景や、手の届かない存在を見上げる視線は、清水自身が地元・群馬で過ごした思春期のリアルな原風景と地続きです。「どうせ自分なんか相手にされるわけがない」という自己評価の低さと、それでも溢れ出てしまう好意の板挟み。公のインタビューでも語られてきたこのコンプレックスの生々しさが、単なるフィクションの物語にとどまらない、聴く者自身の記憶に直結するドキュメンタリー性を楽曲に与えています。