大手航空会社のANAやJALが国内線で高速無料Wi-Fiを標準装備しているのに対し、なぜジェットスターは通信サービスを導入しないのでしょうか。航空業界関係者への取材や各種公開データから、その構造的な理由と機材ごとの設備差が浮き彫りになっています。
最大の理由は、LCC特有の「アンチ・ハイコスト構造」にあります。航空機を衛星通信ネットワークに常時接続させるためには、機体上部への大型アンテナ設置、機内配線工事、衛星回線の莫大な通信帯域契約料が発生します。アンテナ搭載による空気抵抗増加と重量増は燃料消費率を約1〜2%押し上げるとされており、数千円台からの圧倒的な低価格運賃を提供するジェットスターにとって、Wi-Fi設備の維持は運賃値上げに直結する大きなコスト要因となるのです。
また、保有する機材によって座席まわりの充電・電源環境にも明確な格差が存在します。
主力機材であるエアバスA320型機(180席仕様)には、座席にACコンセントもUSB充電ポートも備え付けられていません。一方、2026年以降順次導入されている低燃費・長航続距離の最新鋭機材エアバスA321neo(LR / 238席仕様)では、各座席の下部にUSBポート(Type-AおよびType-C)が標準装備されており、飛行中のスマートフォンの充電が可能です。ただし、A321neoであっても提供されるのは給電機能のみであり、機内Wi-Fi機能は搭載されていません。